2020年2月16日日曜日

現代標準リパライン語の複数語尾に関して

考えていたことをそのまま書いているので大分ごちゃごちゃな文章になっています。



最近、複数(と、以下で書くのはリパラオネ語族の用語で厳密には「多数性」だが)に関して思うことがあったのでまとめて書き残しておく。

そもそもこの話で思ったのは、現代標準リパライン語での複数語尾が何故-ssなのかということである。古典リパライン語の複数語尾は-sである。

まあ、本来リパラオネ語族には複数語尾なんてものは無かったのかもしれない(以下にリパライン語以外の複数の表し方を調べて書いてみる)
ヴェフィス語で複数を表す方法は専ら形容詞 jais 「多くの」の変化形であり、複数のための語尾は存在しない。
現代フラッドシャー語では代名詞では-sが元となった複数形が存在し、普通名詞の複数語尾の元は*-eusらしい。おかげで単語がウムラウトする場合がある。

この jais は語源が jer 「食べる、食べ物」らしいからよくわからないが、フラッドシャー語における複数語尾のもとである*-eusだとか標準現代リパライン語の-ss、挙句の果てには古典リパライン語-sまで元々は jais, jer のような単語だったのではないだろうか。
すると、リパラオネ祖語の複数語尾は *-s ではなく元々 *[j]eus みたいな形であり、ヴェフィス語ではfi型形容詞変化の単語として基本形が jais として扱われるようになっていった(から、元々はjeusみたいな形なのかも知れないけど)のかもしれない。ヴェフィス語jが理語/dz/の音素になっているのは古理語からの変化時に生じたものであり、eの前にjが生えるのは……
まあ、ただここらへんの話は一番最初の話とは関係ないのだ。

脱線したお話をレールに戻そう。
恐らく、古ユナ・リパライン語(現代標準現代リパライン語の前身)において、複数語尾は元々は -s だったのだろう。
仮説として、-s語尾の単語に緩衝音が付かない状態で複数語尾が付いたものから、類推で-ssという語尾が成立したというものが真っ先に思いついた。しかし、集計してみると現代標準リパライン語で-s語尾の単語は全体の8.5%しかないのでこの説は採用し難い。
というか、-ssは/s/で-ssVが/szV/であることも重要なことだ。-ss /s/の形がやはり基本形に思える。
名詞語幹と格語尾或いは緩衝音に挟まれたときに有声化すると語幹と区別しづらくなるからだろうか? -/sz/-になって複数という形態的な部分と有声化という音声的な部分をどちらもはっきりと残すことと聞き間違えバッファを伸ばすためにこうなったとかは考えたが、どうもしっくり来ない。