2019年1月18日金曜日

lipaっぽい単語から始まっている単語の問題


 リパライン語の単語には「リパライン語」や「リパラオネ民族」を表す<lipalain>、リパライン語を表記する文字を表す<liparxe>、「リパライン語」を表す<lineparine>、「リパラオネ教」を指す<lipalaone>(恐らく「リパコール」という名前の<lipakorl>も)という感じで通常は合成語などで対応できるものが語根として存在している。これらについて考えていきたい。

《lipalain》 - 「リパラオネ人のやり方」
 現代語"lipalain"の語源が前期古リパライン語の"lipha limi"で、この"lipha"が「暗黒」の意。この形態素は祖語の*liəと*pʰæの複合語で、前者はliaxaなどの相助動詞と同根で、後者は羅祖語*phedと関係があるかもしれないと考えられている。

・*lipha部分のことについて
 PMCFでアイル共和国のリナエスト側の島の名称である闇(ペド)島、リパラオネの混血や言語構造的影響をある程度受けているバート人という名称はラネーメ祖語の*phed由来であること、ラネーメ側から見てリパラオネ人世界は西側が近かったことを鑑みるとシアン祖語ではリパ・リナを指したのかもしれない
 祖語*liəは存在動詞で、古くは相助動詞では無かった。現代語のliaxa, liaxi, liaxuなどは祖語*liəの相変化型で、本来動詞節をとっていた物が中期理語で動詞が無変化となったことで成立した助動詞となってユナ・リパライン語派ではこれが定着したもの。古理語やヴェフィス語派では相変化は残っている。
 古理語の造語規則に従うと*liə+*phedは*liphとなる、これは恐らく「闇側に居る」=「西側に居る」=「リパラオネやリナエストに居る」という意味になると思われる。

・*limi部分のことについて
 limiは古リパライン語では「道」を指しているが、これから派生したlimeという動詞は「行う、実行する」という意味になっている。恐らく*limという形態素は「道、行く、行う、実行する」のような、現代ラネーメ語に近い意味範疇を持っていたのだろう。燐帝字母の「行」を見てみると「行く」、「行う」が同じ祖語の単語で存在している。

 つまり、*liphと*limがくっついた*liphəlim(əは緩衝母音)が語源となると思われる。その後以下の音韻変化を経てlipalainになった。

  • 古ユナ語までに有気音は完全に無声化した。
  • /i/は古典語、中期語の間で[aj]で発音される音韻変化を起こす場合がある。
  • 後述の通り、lineparineも元々は[lajneparine]だったため、変化の途中では[laipalain]だったが、恐らく語頭の音節では[aj]-[ej]-[i]と変化した。
  • 語末のmはnに変化する場合がある(ectientoceium - ectentoxun, ihaksam - fazan, ircalart vhensium - irvhenなど)


《liparxe》 - 「リパラオネ人の……」
辞書によると一番古い文字表にはlipha sheと書いてあり、lipha(つまり*liph)は古理語で沈黙を指し、*sheの意味はよくわかっていない。sheが含まれるのはpleashe(現代理語同根語はplax)、音象徴としてはshi(感謝)があるこれが語源かは確実ではない。     
 falira.lyjotafisは「沈黙と感謝で対比させて万物の表現を意味した」とする説を提唱した。古理語ではlipasheという単語が一般的に使われた。liphaの古理語辞書音は[lifa]であるため、元々は[lipʰa ɕe]のような発音で中理語までに無気音化したために[pʰa]が[pa]になり、アクセント位置が後ろから二つ目に固定されたために長音になった。現代標準語では初期はliparsheであったが、表記ゆれとして段々とliparxeになっていった。shに当たる音は現代語ではx/shの音素の変化と共にɕ - ʃ - ʂと変化していった。

《lineparine》 - 「リパラオネ人の高貴な言葉」
中期リパライン語では/lainepaline/だったため、lipalainの後部の要素と*parineがくっついたものと考えられる。*parineは恐らく語源が「高貴な言葉」という意味の"pharinue"で、lineparineの古い形はlainəpharinueのような形だろう。つまり「リパラオネ族の高貴な言葉」という意味である。

《lipalaone》 - 「リパラオネ人の文化風習」
liparxeと同じく前の部分はlipaは*liphであろう。*laoneは良く分からないが、faik{leone}やyues{leone}(iues{leone})などと同根の単語で「土地やその土地に結び付けられた文化風俗、慣習」を表していたのだろう。つまり「リパラオネ人の文化風習」ということになる。


0 件のコメント:

コメントを投稿